おくのほそ道紀行320周年「山形・100人芭蕉」事業発足

 山形県は、松尾芭蕉の『おくのほそ道』に関心をもったり、芭蕉の名や句を目や耳にしたことのある人の割合が最も高い県だと思います。芭蕉の句は不易の作品であり、泡のごとくに消えゆくものではないからすばらしいことです。

芭蕉の『おくのほそ道』出羽路の足跡(元禄2年〈1689年〉5月15日〜6月27日)は、新暦7月1日〜2日最上町堺田/3〜12日尾花沢/13日山寺/14〜16日大石田/17〜18日新庄/19〜21日羽黒山/22日月山/23〜25日羽黒山/26〜28日鶴岡/29〜30日酒田/31日吹浦/8月1日〜2日象潟/3〜9日酒田/10日大山/11日温海/12日新潟県へ、の42泊43日です。

今年は松尾芭蕉(1644〜94)の『おくのほそ道』の旅から320年にあたります。これを記念して、平成21年4月28日、尾花沢市歴史散歩の会(会長 鈴木宗世)は、山形県公募型雇用創出事業にかかる標記の事業を吉村美栄子山形県知事に提案しました。

山形県は、尾花沢市歴史散歩の会の事業提案を全面的に受け入れ、平成21年7月16日に下記の業務を委託しました。

 

1 山形県事業として実施する背景

旅行形態が「団体型」「通過型」の物から、小グループで自分たちの興味のある事柄を深く理解しようとする「個人型」「滞在型」「交流型」の旅行へと変化している。このため、ニーズに対応した地域ならではの魅力を活かしたニューツーリズムの取り組みを推進することを本県の観光施策の柱としており、以下の事業を実施する。

2 おくのほそ道紀行320周年「やまがた・100人芭蕉」事業目的

本県においては、現在、放送が行われている大河ドラマ「天地人」やアカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」などの効果により、置賜地域や庄内地域に多くの観光客が訪れている。本年は芭蕉がおくのほそ道の旅に出て320年の記念すべき年であり、このように県内を訪れている多くの観光客の動きを追い風として、県内流動を図る一つの手段として、芭蕉ゆかりの地とおくのほそ道ルートを本県の重要な観光資源として再認識し、プロの人材養成と「おくのほそ道」文化の保存・普及を図っていく。

3 委託事業の内容

(1)『おくのほそ道』に関するプロの解説・演者の養成

独自に作成したプログラムに基づき、山形県内の『おくのほそ道』について説明ができ芭蕉を演じることができる人材を育成する。

(2)養成者の派遣

養成者に、「旅に出た訳」「その地の印象」「出会った人々」「句の意味」などをオリジナル台本に基づき、芭蕉になりかわって物語を語らせる。

(3)ホームページの作成

県内の芭蕉ゆかりの地の映像資料、周辺観光資源などを収集し、楽しめるHPに編集したうえで、インターネットによる来訪者や観光事業者への事前情報として提供する。

4 雇用人数 2名

5 履行期間 平成22年3月31日

6 その他

(1)「ふるさと雇用再生特別基金事業実施要領」に基づき実施すること。

(2)当確業務を円滑に実施するために、必要な業務体制と適切な人員配置を確保するとともに、労働関係法規を遵守すること。

(3)事業の詳細については、県と協議を行うものとする。

□尾花沢市歴史散歩の会は、7月中旬に「おくのほそ道」専門ガイド2名の募集、7月20日に面接試験を行いました。事務所を尾花沢市上町5−5−45アメニティ・プラザ204号室に開設しました。TEL&FAXは0237−53−0246です。

□現在、事務所では関連資料の整備、研修プログラムの作成、台本校正の検討中です。専門ガイド2名は『おくのほそ道』に関する専門知識の研修、台本読み合わせ、演技の研修、現場研修を実施します。

芭蕉は、『おくのほそ道』の旅で尾花沢に10泊し、豪商の鈴木清風を「かれは富める者なれども志いやしからず」「さすがに旅の情をも知りたれば、日此とゞめて長途のいたはりさまざまにもてなし侍る」と、絶賛しています。

 

1983年(昭和58年)7月3日、芭蕉と清風の尾花沢での再会をしのび雪のまち尾花沢の生活を振り返り、地域の歴史と文化に対する認識と理解を深め大切に保存して子孫に伝えることを目的として芭蕉・清風歴史資料館が開館しました。

1989年度の『おくのほそ道』紀行300年祭を通して、『おくのほそ道』が一層市民に知られるようになりました。特に芭蕉が7泊した養泉寺のある梺町(ふもとまち)では、全戸加入の歴史保存会(安西幹雄会長)を結成し、「芭蕉・清風祭」を立ち上げました。

1999年2月、市内の13軒のそば店が「ゆう遊三味会」(高橋晃治会長)を結成し、「おくのほそ道・尾花沢そば街道」をスタートさせました。同会は、徳良湖近くの高宮牧場跡地10ヘクタールをそば畑として活用しています。地主の高宮徹哉氏が芭蕉の「蕎麦はまだ花でもてなす山路かな」句碑を建立しました。

2003年度に尾花沢市の仲新町商店街(青沼雄一会長)は芭蕉の「涼しさを我宿にしてねまる也」「まゆはきを俤にして紅粉の花」などのモニュメント5基を設置、各店舗前にベンチを置き、街の街路灯に『おくのほそ道』の芭蕉句を書いた短冊40枚を揚げました。

尾花沢市歴史散歩の会(鈴木宗世会長)は、2005年度に尾花沢市で開催された第18回「奥の細道」全国サミットを契機に「おくのほそ道入門講座」を開催しました。

尾花沢市における、このような芭蕉と『おくのほそ道』へのかかわり方、関心のあり方はユニークです。今後の地域づくりは、官と民の間で役割分担を図り、主役となる人づくりや活動を支援する新しい組織づくりを進めるとともに、それぞれの主体が責任と高い意識を持って参加していくことが必要となります。私たち尾花沢市歴史散歩の会は、芭蕉の『おくのほそ道』はもとより、地域発見の活動や独自の価値観づくりなどを進めながら、地域の魅力ある個性を磨き活用していく事業を展開していきます。

 

2009年7月22日   尾花沢市歴史散歩の会

会  長  鈴 木 宗 世

事務局長  西 塚 義 治

専任講師  梅 津 保 一

ご あ い さ つ