「おくのほそ道」出羽路での歌仙

     
 歌仙「さみだれを」碑  芭蕉句碑(西光寺境内)  最上川(大石田)

 B 歌仙 「さみだれを」  (芭蕉真蹟懐紙)    大石田

五月二十九日、三十日の両日、出羽大石田の高野一栄宅での興行。『曾良旅日記』の「俳諧書留」は「大石田、高野平右衛門亭ニテ」と前書して収める。

さみだれをあつめてすゞしもがみ川  芭蕉

岸にほたるを繋ぐ舟杭       一栄

瓜ばたけいさよふ空に影まちて    曽良

里をむかひに桑のほそ道      川水

 

さみだれをあつめてすゞしもがみ川  芭蕉
 大石田での「さみだれを」は歌仙の発句(あいさつ)であり、涼しい風をはこんてくる最上川の豊かさ、やさしさを仮名書きで表記した。
 本合海から急流の最上川下りを体験して、仮名書きを漢字に、中七の「すずし」を「早し」に改め、最上川の豪壮さ、はげしさを表記している。

岸にほたるを繋ぐ舟杭        一栄
 一栄は、「ほたる」=芭蕉が、最上川岸の私の舟宿にきて下さったと、舟杭に芭焦を繋ぎとめておきたいという気持をのベている。

瓜ばたけいさよふ空に影まちて    曽良
 「いさよふ空」は十六夜の空で、「影」は月だから、曽良は三句目で、夏の月をよんでいる。最上川の岸辺から、大石田の広い野に情景を移している。

里をむかひに桑のほそ道       川水
 瓜ばたけにつづいて桑畑がひろがり、その向うに、蚕を飼うらしい村里があり、それへ「ほそ道」が通じている。これも田園の風景である。

 

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